JAPAN BGM ASSOCIATION.

■BGM協会セミナー

第23回BGM協会セミナー「著作権・デザイン‐新しい音・音楽の流れを探る」

11月7日(金)、福岡市のアクロス福岡会議室で第23回BGM協会セミナー「著作権・デザイン ‐新しい音・音楽の流れを探る」を開催、会員・一般を含め50人近くのご参加を頂きました。
また、経済誌「ふくおか経済」(株式会社地域情報センター発行)の取材を頂き、12月号に記事が掲載されました。

経済誌「ふくおか経済」12月号 (PDF:約520KB)

(写真提供:ふくおか経済)

講演1「BGMビジネスから見たデジタル時代の音楽流通と著作権」
講師 社団法人日本音楽著作権協会業務本部演奏部主幹 海上 薫氏

講師 社団法人日本音楽著作権協会業務本部演奏部主幹 海上 薫氏

BGMビジネスと著作権について、前半はBGMの変遷とそれにかかる権利の関係、後半は現在業界でも大きな問題であり協会も対策を要望する文書を提出している“iPod等デジタル録音プレーヤー”の目的外利用の法的問題点について、お話し頂きました。


BGM(音楽の背景利用)にかかる権利は、その供給方法によって複製権・公衆送信権と区分され、利用する施設側にかかる権利も同様に演奏権・伝達権と区分されます。レコード演奏によるBGMの演奏権は、2000年1月1日からのいわゆる「附則14条撤廃」以降、2002年4月1日からのBGM規定の実施に伴い管理が開始されたと、今日のBGMの権利処理に至る経過が説明されました。


一方、iPod等デジタル録音プレーヤーの目的外利用については、私的使用の範囲を超えて利用する場合には、著作権と著作隣接権の双方について、複製権に関する権利処理をクリアしなければ、公の場所等での演奏のために利用することができないことを、法律条文をもとに解説いただきましたが、現実的には隣接権者の許諾を得ることは難しいであろうとのお話がありました。


BGM業界にとって身近でありまた関心の高い演奏権とデジタル録音プレーヤーの目的外利用について、海上氏の講演は法律の観点から明解な枠組みを示して下さったと言えましょう。

講演2「音のデザイン―感性に訴える音を作る―」
講師 九州大学大学院芸術工学研究院音響部門教授 岩宮眞一郎氏

講師 九州大学大学院芸術工学研究院音響部門教授 岩宮眞一郎氏

デザインというと視覚領域が一般的で、音のデザインという形での認知度はあまり高くないように思えます。しかしながら、実際には様々なデザインが音を必要としており、それが製品のイメージや価値のアップに貢献しています。岩宮氏は、そうした音デザインの背景と、物理的な音響特性を音デザインに生かす方法、日常生活にあるある音に気づくこと自体もデザインであるという、音デザインの幅広さを、数多くの事例をもとに説明されました。特に、映像との関係では、情緒的な部分の誘導はほとんど音が担っているのではないかと思えるほどの音の役割の大き さに改めて気がつかされました。


生活の中への音デザインの浸透も、例えば普段何気なく聞いている電子レンジ、洗濯機などの家電の音、車のドア音、カメラのシャッター音、これらは機械が偶然出す音ではなく、音の特性や人間の感性を考慮した音デザインであるということです。一方で、視覚障害者や高齢者のための「ユニバーサルデザイン」としての音デザインにも関心が寄せられています。生活の中でのデザインと音との関係をこのようにいろいろな方向から改めて考えてみると、これまであまり意識されることはなかったものの、実は音デザインは大きな可能性を秘めた分野ではないかということでした。

〈関連資料〉 著作権・著作隣接権について

セミナー講演録


Vol.8 「やさしい実践的著作権セミナー~BGMをとりまく著作権の諸問題~Part1」


Vol.9 「やさしい実践的著作権セミナー~BGMをとりまく著作権の諸問題~Part2」 講師/東芝EMI㈱ 法務部長 油谷茂樹氏
(内容)Part1は著作権・著作隣接権を音楽制作の現場から説明。Part2はQ&Aでケースごとの著作権の処理方法など実務的な内容を豊富に紹介。


Vol.24 「ビジネスに必要な著作権・著作隣接権の考え方」 講師/㈱日音 常務取締役 猿田 清氏
(内容)著作権の概要と音楽出版業務の現場について。


Vol.25 「知的財産推進計画2006のポイント 講師/内閣官房知的財産戦略推進事務局 参事官補佐 渡辺倫子氏
(内容)著作権も含まれる「知的財産」の政府の推進計画。


Vol.30 「BGMに関する著作権」 講師/(社)日本音楽著作権協会業務本部 演奏部課長 海上 薫氏
(内容)著作権を構成するさまざまな権利について説明。入門的な著作権概論。

〈関連資料〉 音のデザインについて

セミナー講演録


Vol.5 「音の力‐阪神大震災のサウンドスケープ」 講師/関西大学 教授 小川博司氏
(内容)震災直後の音風景、災害時の音楽の役割など、当事者ならではの情報と分析。


Vol.14 「その音、聞こえていますか?‐高齢者のための音設計‐」 講師/(独)技術総合研究所人間福祉工学研究部門 主任研究員 倉片憲治氏
(内容)岩宮氏の講演にも引用された、高齢者の聴覚特性研究と音のユニバーサルデザイン。


Vol.15 「公共空間における音のバリアフリー」 講師/TOA㈱ 前田耕造氏
(内容)視覚障害者を中心にした音サインの在り方。


Vol.17 「医療施設における音楽利用の可能性」 講師/㈱日本ヘルスケアコンサルタンツ 取締役 前島 滋氏
(内容)病院設計者から見た医療施設でのスポット的な音楽利用の提案。


Vol.19 「空気が変われば商業空間が変わる~空気を変える音・BGMの役割」 講師/㈱ジオ・アカマツ常務取締役 博多リバレイン・イニミニマニモ館長 東宮照男氏
(内容)音楽は時間軸であり雰囲気を作るもの。商業空間全体の企画と音楽との関係。


Vol.26 「音環境デザインの現況と可能性~音・音楽の在り方をめぐって~」 講師/サウンドスケープ研究 田中直子氏
(内容)音環境デザインは置かれる場の文脈を十分とらえる必要がある。講演で紹介したデザイン例を説明している。